旧約聖書で笑った話(6)ダビデ王後編~卑怯すぎる王

笑える教会・聖書のネタ

女好きダビデ王の卑怯ぶり…(そして真の支配者は?)

 前回に続きダビデ王についてです。
今回は、サムエル記Ⅱより、あるエピソードを引っ張ってきたいと思います。
かなり長い話になりますので、いくつかに分けて記述していきます。

人妻の入浴シーンを見てしまったダビデ王

 サムエル記Ⅱより
(…しかし、ダビデはエルサレムにとどまっていた。)
 ある夕暮れ時、ダビデは床から起き上がり、王宮の屋上を歩いていると、ひとりの女が、からだを洗っているのが屋上から見えた。
 その女は非常に美しかった。
 ダビデは人をやって、その女について調べたところ、「あれはヘテ人ウリヤの妻で、エリアムの娘バテ・シェバではありませんか。」との報告を受けた。
 ダビデは使いの者をやって、その女を召し入れた。

女が彼のところに来たので、彼はその女と寝た。それから女は自分の家へ帰った。
 女はみごもったので、ダビデに人をやって、告げて言った。

「私はみごもりました。」
(サムエル記Ⅱ11.1~5)


 ダビデ王、のっけから、しでかしました。
見えてしまったものは彼の責任ではないにしても、そこを追求するのがいけません。
 しかも、そのときは戦争中でした。注:使者たちのひげを半分そり落とし服を半分の長さにして始まった対アモン戦争。旧約聖書で笑った話(4)を参照)
 そんな中、自身は戦場から離れたエルサレムにとどまり、
 夕方起きてきて宮殿の屋上を散歩し、さらには美しい女性の入浴が目に入ってしまったダビデ王。
 彼の人生一番の黒歴史時代ではあるのですが…、半端ないです。

自分の不貞をもみ消したい王

 (サムエル記Ⅱ続き)
ダビデはヨアブのところに人をやって、「ヘテ人ウリヤを私のところに送れ。」と言わせた。
それでヨアブはウリヤをダビデのところに送った。
 ウリヤが彼のところにはいって来ると、ダビデは、ヨアブは無事でいるか、兵士たちも変わりないか、戦いもうまくいっているか、と尋ねた。
 それからダビデはウリヤに言った。

「家に帰って、あなたの足を洗いなさい。」
 ウリヤが王宮から出て行くと、王からの贈り物が彼のあとに続いた。
 しかしウリヤは、王宮の門のあたりで、自分の主君の家来たちみなといっしょに眠り、自分の家には帰らなかった。
 ダビデは、ウリヤが自分の家には帰らなかった、という知らせを聞いて、ウリヤに言った。

「あなたは遠征して来たのではないか。なぜ、自分の家に帰らなかったのか。」
 ウリヤはダビデに言った。
「イスラエルも、ユダも仮庵に住み、私の主人ヨアブも、私の主人の家来たちも戦場で野営しています。
それなのに、私だけが家に帰り、飲み食いして、妻と寝ることができましょうか。
あなたの前に、あなたのたましいの前に誓います。
私は決してそのようなことをいたしません。」
 ダビデはウリヤに言った。「では、きょうもここにとどまるがよい。あすになったらあなたを送り出そう。」

 それでウリヤはその日と翌日エルサレムにとどまることになった。
 ダビデは彼を招いて、自分の前で食べたり飲んだりさせ、彼を酔わせた。

夕方、ウリヤは出て行って、自分の主君の家来たちといっしょに自分の寝床で寝た。
そして自分の家には行かなかった。
(サムエル記Ⅱ11.6~13)


 美しいバテ・シェバは、自分の部下ウリヤの妻でした。
 ダビデ王は彼女の妊娠が自分の所業だということを隠すため、ウリヤを妻バテ・シェバの待つ彼の家に一晩でいいから泊まらせようと必死です。
 しかしウリヤはその主君と違って、職務と戦友たちに忠実な男でした。ダビデのたくらみは二度とも空振りに終わります。
 もっとも、戦場から急に呼び出されたウリヤが一晩でも妻のいる家に泊まれば大丈夫と思うのも、あくまでダビデの感覚であって、本当にそうなのかどうかわかりません。(教訓;人は自分を基準に考える)
 兎にも角にも、まじめなウリヤを家に帰すことは難しいと悟ったダビデは、次の手に出ることにしたようです…。

どうにもならないので殺すことにした王…


(サムエル記Ⅱ続き)
 朝になって、ダビデはヨアブに手紙を書き、ウリヤに持たせた。
 その手紙にはこう書かれてあった。

「ウリヤを激戦の真正面に出し、彼を残してあなたがたは退き、彼が打たれて死ぬようにせよ。」
 ヨアブは町を見張っていたので、その町の力ある者たちがいると知っていた場所に、ウリヤを配置した。
 その町の者が出て来てヨアブと戦ったとき、民のうちダビデの家来たちが倒れ、ヘテ人ウリヤも戦死した。
 そこでヨアブは、使いを送った。

… 使者はダビデに言った。
「城壁の上から射手たちが、あなたの家来たちに矢を射かけ、王の家来たちが死に、あなたの家来、ヘテ人ウリヤも死にました。」
…(中略)…
 ウリヤの妻は、夫ウリヤが死んだことを聞いて、夫のためにいたみ悲しんだ。
(サムエル記Ⅱ11.13~26)


 ダビデ王は、とうとう殺人までも犯してしまいました。ウリヤ本人にその死を画策する手紙を持たせるところが本当に悪いです。
 でも、もしかしたらダビデは、ウリヤがその手紙を読むことを心のどこかで期待していたのかもしれません。
使いの人間は他にいくらでもいたわけですから。
 自分を止める力のある者がおらず、悪いことがいくらでもできてしまう立場というのも、案外つらいものなのかもしれませんね。

略奪婚に成功した王だが…?

 喪が明けると、ダビデは人をやり、彼女を自分の家に迎え入れた。
彼女は彼の妻となり、男の子を生んだ。
 しかし、ダビデの行なったことは主のみこころをそこなった。…
(サムエル記Ⅱ11.27)


 もしかしたらちょっといい奴だったのかなと思いきや、やはりここで止まることはできなかったようで、
ウリヤの喪が明けるとすぐに、ダビデはバテ・シェバを妻としてしまいます。
 主のみこころをそこなった、というのはもう当然ですね。

 この後、神は預言者ナタンをダビデのところに遣わしてその罪を戒められ、
ダビデは自分の罪を悔い一応は神から許されるも、
今回のことの罰として、バテ・シェバが生んだ男の子は神に打たれて死に(呪いや罰が本人より子孫に与えられがちな旧約の不思議な法則)、
 さらには、この先ダビデ王の家族全体にも不幸が起こると預言されてしまいます。
 実際のちに王子たち(ダビデの息子たち)の間で、互いに殺し合うほどの争いが発生し、
しかもそれが女がらみだったため(遺伝?)、
身に覚えのありすぎる父王は何も言えないという切ない事態となるのですが…、
この話はまたいつか。

真の支配者は誰?

さて、話は戻って今回のダビデ王による一連の事件。
一番の被害者は、まあウリヤでしょうね。
あと、ウリヤとともに捨て駒にされた感のある他の家来たちもいいとばっちりです。ウリヤのように殺されるべき事情もなく、名前も残さずに死んでしまって。
 そして、得(?)したのは、もちろんダビデ王。
そして、王からの命令とはいえ、自分の直属の部下をああもあっさりと死なせたヨアブも、もしかしたらウリヤを快く思っていなかったのかも?しれません。

しかし、この事件全体の本当の支配者は誰だったのでしょう?
ダビデ王?
確かにダビデ王が行動を起こしているんです。
しかし、そもそも事の発端は、遅起きの王が、王宮の屋上からバテ・シェバの入浴を偶然見てしまったことです。
そして、実はこれ、そんなにありうることではないらしいのです…。
 つまり、ダビデが、バテ・シェバの策にはまったのではないか、という――。

美しきバテ・シェバは、もしかすると、
堅物な夫と別れ王妃となりたいという野望を持っていて、
幸いにも有能でハンサムな王はその好色ぶりで有名、自分の美貌は役立つに違いない。
しかし、自分のほかにも多くの美しい女性たちが王に近づこうと狙っている。
実際、正妻の数は少なくとも7人、愛人たちは数知れず。
その中で自分が特別な存在になるには、着飾って王宮に向かうだけでは足りない――


というわけで、ダビデ王は、
見られているなど全然気づいていない(かに見える)美しい女性の、無防備(かに見える)入浴姿を、夕暮れの王宮の屋上から「偶然」見ることになったのかもしれません!!
 一連の出来事のあとに、預言者ナタンからダビデはボロクソに言われるのですが(王なのに)、
もしこういうことだったとしたら、一番罪深いのは誰だったんでしょう!

 もし彼女の計画あったとしたら、確かにバテ・シェバは影の立役者ではあったかもしれませんが、しかし、彼女が実際にやったことは風呂に入っただけ。
 ウリヤを殺したのはダビデであり、ヨアブであり、戦争です。誰にどんな罰を与えれば正解なのでしょう。

 複数の行為が絡み合って罪を作っていて、ほどくことができない。
 こういう場合、もういっそ関係者の子孫だからという理由で、子孫たちに罰をばらまいたほうが、理不尽だけども納得できるということになるかもしれません。
 この旧約の時代、本人たちにとっても、子孫を残すことがとても大事だったようですし、そもそも人生って不平等なものですから、子孫の側も生まれもっての不平等さに祖先が何かしたからだとかの理由をつけられれば、そんな理不尽を少しは受け入れやすくなるかもしれませんものね!

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